今回は、巷で溢れる筋トレ情報の中から、科学的根拠に基づいた本当に役立つ情報だけを厳選しました。
最新研究のメタ分析や論文などを参考に、筋肥大、トレーニング方法、食事、モチベーション維持など、31個の筋トレ雑学を分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、効率的に筋トレの効果を出すための知識が身につき、明日からのトレーニングがさらに充実すること間違いなし!
最後まで読んで、理想の体へ一歩近づきましょう!
筋肥大の真実
1. 筋肥大を決めるのはウェイトの重さではなく総負荷量
筋肥大に重要なのは、扱っているウェイトの重さではなく、総負荷量です。
総負荷量とは、「重量 × セット数 × 回数」の合計値。
2018年から2023年の信頼度の高いメタ分析によると、一貫して「筋肥大 = 1週間の総負荷量」という結果が出ています。
さらに最新の2024年1月のメタ分析でも、1週間の総負荷量を高めることが重要であるとされています。
ただし、総負荷量は少なすぎても多すぎても良くないということも覚えておきましょう。
例えば、
- 総負荷量3500を週に1回でやる人
- 総負荷量500を週に7回やる人
この2人は、同じ総負荷量なので、同様の筋肥大効果が得られます。
実践的に言うと、
- 100kgのベンチプレスを10回する人
- 50kgのベンチプレスを20回する人
この2人も、同様の結果が得られるということです。
2. 実は追い込まなくても筋肉は成長する
「限界まで追い込む」というイメージが強い筋トレですが、実は追い込まなくても筋肉は成長します。
2023年のメタ分析によると、追い込まないトレーニングを行うことで、効率よく総負荷量を稼ぐことができると言われています。
また、2023年12月の観察研究では、「伸び悩んだ時は追い込みを減らすことで停滞を抜けられるかもしれない」という興味深い報告も。
なぜなら、追い込みすぎると疲労が蓄積し、結果的に総負荷量が減ってしまう可能性があるからです。
特に初心者は、「賢く」鍛えることを意識しましょう。
3. 自重トレでも十分効果がある
ジムに通えない、器具がない…そんな方でも大丈夫!
自重トレでも十分な筋肥大効果を得られます。
2023年7月のランダム化比較試験では、重いウェイトと軽いウェイトという2つのパターンの筋トレの効果を比較。
- A:1セットで8から12回(高重量)
- B:1セットで20から24回(低重量)
どちらのグループも自発的疲労まで行いましたが、週に2回、10週間続けた結果、AもBも同じくらい筋力と筋肥大効果が見られました。
自重トレでも、週当たりの総負荷量を意識することで、効果的に筋肉を鍛えることができます。
効果的なトレーニング方法とは
4. 毎日筋トレをしても効果がある
毎日筋トレをしても、週に何回かまとめて筋トレをしても、週当たりの総負荷量が同じなら効果は同じです。
2023年9月のメタ分析では、12個の「頻度 × 重量 × セット数」の組み合わせを比較分析。
その結果、どの方法もやらないよりも筋肉が成長していたという結果に。
高重量のトレーニングは筋力の伸びが良く、頻度が高く総負荷量が多いほど筋肥大効率が良いということも分かりました。
ただし、低重量高回数ばかりだと重量の伸びが停滞する可能性も。
初心者の方は、「中強度 × 中回数(例:10回3セット)」を目安にするのがおすすめです。
5. 隙間時間に鍛えても効果が得られる
「忙しくてまとまった時間が取れない…」という方も諦めないでください!
隙間時間に鍛えても効果が得られます。
2024年3月のレビューでは、時間がない場合の最低限の筋トレ量について調査。
その結果、週に1回、4種目以上を7から10回、1セットずつ鍛えるだけでも効果があることが分かりました。
具体的には、運動しなかった場合に比べて、筋肥大、筋力、持久力の向上が見られています。
また、自重トレで毎日部位を変えて15回2セットのみを行った場合でも、筋肉への不快感の減少や日中の眠気減少などの効果も報告されています。
「歯磨きしながらスクワット」「空き時間に腕立て伏せ」など、ちょこちょこ積み重ねるだけでも、ある程度の効果が期待できます。
WHOも「何らかの活動を行った方が何もしないよりは良い」と提唱しており、この研究結果はそれを裏付けています。
筋トレの効果を最大限に引き出そうと意気込む方もいるかもしれませんが、ほとんどの初心者にとって、まずは定期的に筋トレを行うことが重要です。
6. 筋トレは1年で96%が挫折する!?
2016年の調査によると、筋トレを始めた人のうち、
- 3ヶ月で64%
- 6ヶ月で86%
- 1年でなんと96%
が挫折してしまうという衝撃的な結果が…!
しかし、「楽しい」と感じながら筋トレを続ければ、挫折する可能性はグッと減ります。
2021年の調査では、筋トレ初心者が継続できた最大の要因は「楽しくできたか」でした。
「楽しい」と感じるかどうかで、結果は大きく変わってくるのです。
7. 筋トレは考えすぎると続かない
あれこれ考えすぎると、筋トレは続かなくなってしまいます。
2022年に行われた220万人を対象にしたメタ分析では、行動科学の観点から分析。
その結果、あれもこれもと手を出すよりも、「まずはこれだけやろう!」というように、シンプルで効果の高いことから始めることで、行動が継続しやすいということが分かりました。
重要度の高いものから優先的に取り組み、重要度の低いものは思い切って切り捨てるという考え方が大切です。
8. 筋トレはやりすぎても効果が減る
何事もやりすぎは禁物。
筋トレも、やりすぎると効果が減ってしまいます。
2024年1月のメタ分析では、週当たりの総負荷量と筋肥大の関係を調査。
その結果、総負荷量と筋肥大の関係は「逆Uの字」になる、つまり、ある一定量までは効果が増加するものの、それを超えると効果が減少することが示唆されました。
9. 週当たりの最適なセット数がある
週にどれくらいトレーニングすれば良いのでしょうか?
2022年のメタ分析では、トレーニングの量と筋肥大の効果を調査しました。
被験者を、
- 週12セット未満
- 週12から20セット
- 週20セット以上
の3つのグループに分け、トレーニングの効果を比較。
その結果、中程度のトレーニング量(週12~20セット)と、高いトレーニング量(週20セット以上)の間に、有意な差は見られませんでした。
つまり、闇雲にセット数を増やせば良いというわけではないのです。
この研究では、各部位ごと、毎週12から20セットの範囲が理想であり、三頭筋は増やしても良いという結果が出ています。
10. 人間は限界までの距離を過小評価する
「あと1回!」と思っても、実はまだ余裕がある…なんて経験はありませんか?
2023年10月の研究によると、人間は限界までの距離を過小評価する傾向があることが分かりました。
大体、限界までの数値を1回程度少なく見積もってしまうようです。
限界の1回手前でやめるか、限界でやめるくらいが、次のセットに疲労を残さないための良い目安になりそうです。
食事に関する豆知識
11. 卵は卵白だけよりも全卵食べた方が筋合成率が高い
卵は、筋トレに欠かせない栄養素が豊富に含まれた食材です。
2017年の研究では、卵白だけを食べるよりも、全卵を食べた方が筋合成率が上がったという結果が出ています。
コレステロールが気になる方もいるかもしれませんが、健康な人が卵を食べることによって、コレステロール値が上昇したり、心臓病のリスクが高まるという明確な証拠はありません。
12. プロテインを1回で100g飲んでも効果が出る
「プロテインは1回に20gまでしか吸収されない」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、それはもう古い情報です!
2023年12月に出た最新の論文では、男性36人を対象に、全身トレーニング後に、
- 0g
- 25g
- 100g
のプロテインを摂取してもらい、12時間のタンパク質代謝を評価。
その結果、25gよりも100g摂取した方が筋肉が増えていたという結果に!
つまり、100gのような大量に摂取しても、きちんと吸収されているということですね。
1回に何グラムのプロテインを飲むかよりも、1日に必要な量のタンパク質を摂取できているかの方が重要です。
13. 筋トレする人は体重kg × 2.2gのタンパク質がベスト
どれくらいのタンパク質を摂取すれば良いのでしょうか?
2018年のメタ分析によると、運動する人なら、推奨摂取量は体重kg × 2.2g。
これだけの量を摂取すれば、97%の人は十分なタンパク質を摂取できていると言われています。
14. 可動域は狭くても効果がある
「可動域を最大限に使ってトレーニングした方が効果的」と思っていませんか?
実は、可動域が狭くても効果があります。
2024年3月のレビューでは、可動域に焦点を当て、筋肥大を最大化するための筋トレテクニックを分析。
その結果、筋肉がより伸びる部分(伸長刺激)にフォーカスしたパーシャルレンジのトレーニングが、フルレンジのトレーニングよりも筋肥大効果が高い可能性が示唆されました。
15. スロトレは実は効果が薄い
ゆっくりとした動作でトレーニングを行う「スロトレ」。
一見効果がありそうですが、実は筋肥大効果は薄いという研究結果が出ています。
2024年3月のレビューでは、動作時間と筋肥大を最大化する方法について調査。
その結果、筋肥大には2秒から8秒の動作時間が最適で、それ以上時間を掛けてもメリットは特にないとされています。
例えば、スクワットの場合、
- 下ろす時:ウェイトをコントロールしながら3秒から8秒で下ろす
- 上げる時:素早く1秒から3秒で上げる
これを目安にすると良いでしょう。
16. 基本種目が結局最強である
様々な筋トレ種目がありますが、結局のところ基本種目が最強です。
2024年3月のレビューでは、「フォームや種目には用途に応じて様々なテクニックがあるが、それらが必ずしも筋肥大に有効かは未だ分かっていない。現在のエクササイズ固有のガイドラインを採用することが賢明である」と述べられています。
初心者は、迷ったらビッグ3(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)を教科書通りに行うだけでも十分な効果が期待できます。
モチベーション維持の秘訣
17. 筋肉はすぐに増えない
筋トレを始めたばかりの頃は、なかなか効果が見えなくて焦ってしまうかもしれません。
しかし、筋肉はすぐに増えるわけではありません。
2017年の研究では、筋トレ初心者13名を対象に、週2回の筋トレを4週間実施。
その結果、1ヶ月で筋肉の厚さは平均0.24cmしか増加しませんでした。
また、2022年のレビューでは、筋トレを始めてすぐに筋肥大は起こるものの、見た目で分かるレベルになるまで、最低でも2ヶ月から半年は必要だとされています。
「見た目」という結果にフォーカスするよりも、「重量が増えた」など、自分でコントロールできる部分にフォーカスした方が、モチベーションを維持しやすくなります。
18. 筋トレは栄養も超重要
筋トレの効果を最大限に引き出すためには、栄養も非常に重要です。
最新の2024年2月のレビューでは、
- P:タンパク質
- F:脂質
- C:炭水化物
この3つの栄養素のバランスが、持久力や筋力の強化、筋肉の回復と成長、さらにはアスリートのトレーニングパフォーマンスにまで影響を与えるということが示されています。
PFCバランスを意識した食事を心がけましょう。
19. お酒は筋トレの効果を減らす
お酒好きの方には残念なお知らせですが…
お酒は筋トレの効果を減らしてしまいます。
2023年11月のレビューでは、アルコール摂取はタンパク質合成を減少させ、タンパク質分解を増加させるという報告が。
20. 増量期に多く食べても効果が薄い
筋肉を増量したいからといって、むやみにたくさん食べれば良いというわけではありません。
2023年12月のランダム化比較試験では、
- 15%の余剰カロリー
- 5%の余剰カロリー
- 現状維持のカロリー
の3パターンで食事を摂り、筋トレの効果を比較。
その結果、5%の余剰カロリーを摂取したグループが、最も筋肉が増え、かつ体脂肪も増加していませんでした。
多すぎる余剰カロリーは、皮下脂肪だけを増やしてしまう可能性が高いという指摘がされています。
21. 糖質制限は筋トレの効果を減らす
糖質制限ダイエットが流行っていますが、筋トレをしている人にとっては逆効果になる可能性があります。
2023年7月のレビューでは、食事の炭水化物制限は、タンパク質の分解を増加させ、筋合成率を下げてしまうとされています。
また、筋トレ時のパフォーマンスや回復力も低下するため、総負荷量も減ってしまいます。
特に高強度の運動をする人は、炭水化物を制限することは推奨されていません。
22. 空腹時に運動しても筋肉は分解されない
「空腹時に運動すると筋肉が分解される」という話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、それは誤解です!
2016年のメタ分析では、空腹時に運動しても、約6時間から16時間は筋肉は分解されなかったという結果が出ています。
23. HIITと筋トレを両方する人は筋肥大効果も高まる
高強度インターバルトレーニング(HIIT)と筋トレを組み合わせることで、筋肥大効果を高めることができます。
2024年1月のメタ分析では、HIITと筋トレを同時に行うことは有益な影響があるとされています。
ただし、サイクリングでHIITを行うと、脚の筋肉の疲労が溜まりやすく、その後の筋トレに悪影響が出やすいということも指摘されています。
悪影響を抑えるためには、ランニングのようなHIITを行うのがおすすめです。
24. 有酸素運動は筋肉を減らさない
「有酸素運動をすると筋肉が減ってしまう」というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、それは間違いです!
2023年3月のメタ分析では、筋トレと有酸素運動を両方行っても、筋肥大効果に悪影響は出ないということが分かっています。
ただし、筋トレと有酸素運動を連続して行ったり、交互に行う場合は、筋トレ単体で行うよりも悪影響が出やすいという結果も。
できるだけ時間を空けて行うようにしましょう。
特に自転車での有酸素運動は、筋トレへの悪影響を抑え、ダイエット効果も期待できます。
25. 筋肉痛はなくても筋肉は成長する
「筋肉痛が来ないと不安…」という方もいるのではないでしょうか?
しかし、筋肉痛は必ずしも筋肥大に必要ではありません。
2023年最新のレビューでは、「筋肉痛は、筋肥大を誘発するために必要な刺激ではない」と考えられています。
筋肉痛が来なくても、総負荷量を高めることを意識していれば、筋肉はきちんと成長します。
さらに筋トレ効果を高めるテクニック
26. プロテインサプリは実際に効果がある
プロテインサプリは、筋トレの効果を高めるのに役立ちます。
2023年のレビューでは、ホエイプロテインと大豆プロテインの両方が、高齢者の炎症を軽減するのに有効であるという結果が出ています。
また、健康転機や生活の質の向上にも貢献する可能性があると考えられています。
27. ストレッチが筋肥大効果を高める
トレーニング前後のストレッチは、筋肥大効果を高めるのに役立ちます。
2023年のメタ分析では、座りっぱなしの人が静的ストレッチを行うと、筋力と筋肥大を向上させる可能性があるということが示されています。
また、最新の2024年6月のランダム化比較試験でも、ストレッチングは最大筋力と筋肥大の増加を示すという結果が出ています。
28. 筋トレ後に全身に熱ストレスを与えると筋肥大効果が上がる
筋トレ後にサウナや温浴などで体を温めることで、筋肥大効果を高めることができます。
2023年10月のレビューでは、筋トレ後に熱ストレスを与えることで、筋肥大効果を高める可能性が示唆されました。
29. 音楽を聴くと筋トレのパフォーマンスが上がる
筋トレ中に音楽を聴くことで、パフォーマンスを向上させることができます。
2023年の研究では、音楽を聴くことで、
- 感覚的な疲労の軽減
- 運動パフォーマンスの向上
- 酸素摂取量の増加
- ストレスの減少
などの効果が見られています。
特にアップテンポな曲が良いようです。
コメント