今回はアンデッシュ・ハンセンさん著 「運動脳」 をご紹介します。
本書は、「運動が脳に与える驚くべき効果」 を、最新の科学的知見に基づき解説した世界的ベストセラーです。
現代人は狩猟採集民!? 私たちの脳と体はサバンナ時代
私たちは、はるか昔 狩猟採集 をして暮らしていた祖先と、生物学的にはほとんど変わっていません。
文明は発達し、私たちの生活は劇的に変化しましたが、私たちの脳と体は 今もサバンナ時代 のままなのです。
では、サバンナ時代の私たちの祖先と、現代の私たちの生活を比べてみましょう。
- 祖先は毎日、食料を求めて 広大なサバンナを歩き回り、危険な動物から逃げ、新しい住処を探していました。
- 現代の私たちは、スマホで Uber Eats をポチれば、家まで食事が届きます。仕事はデスクワーク中心で、移動は車や電車。 IT技術の発達により、圧倒的に体を動かす機会が減って しまいました。
この 「運動不足」 こそが、現代人が抱える様々な不調の原因なのです。
現代最強の薬!? 運動の効果と驚きのメカニズム
著者は、精神科医として、運動がもたらす効果に注目しています。
運動には、抗うつ剤やセラピーに匹敵する効果 があることが、多くの研究で明らかになっているのです。
運動の効果は、短期的なもの と 長期的なもの の両方があります。
運動の短期的な効果:気分爽快&集中力アップ!
運動すると、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった 神経伝達物質 が分泌されます。
これらの物質が、私たちの気分やメンタルに影響を与えているのです。
- セロトニン: 悩みや不安を和らげ、心を落ち着かせる効果
- ノルアドレナリン: やる気を高め、集中力をアップさせる効果
- ドーパミン: 快楽や幸福感をもたらす効果
運動すると、これらの神経伝達物質が分泌され、気分が爽快になったり、集中力が高まったりするのです。
効果は運動後数時間持続し、定期的に運動すれば、分泌量も増えていきます。
運動の長期的な効果:脳細胞の増加&老化防止!
運動は、BDNF(脳由来神経栄養因子) という物質の生成を促進します。
BDNFは、近年の研究で注目されている、脳にとって非常に重要な物質です。
まるで 脳の天然肥料 と呼ばれるほど、様々な効果をもたらします。
- 脳細胞を保護し、新たな細胞の生成を促す
- 脳細胞間のつながりを強化し、学習能力や記憶力を高める
- 脳の可塑性を促し、脳細胞の老化を遅らせる
運動を習慣化することで、BDNFが増加し、脳の機能が向上するだけでなく、老化防止にもつながるのです。
なぜ運動すると脳に良い影響があるのか?
私たちの祖先は、生き残るために、常に動き回っていました。
食べ物を見つけたり、危険から逃げたり、新しい住処を探したり…
そして、これらの行動に成功すると、脳は 「報酬」 として、ドーパミンやセロトニンを分泌し、快楽や幸福感を与えます。
このメカニズムは、現代の私たちにも受け継がれています。
現代では、狩猟や住処探しをする必要はありません。
しかし、私たちの脳は、体を動かすことを 「生存のための行動」 と解釈し、報酬として神経伝達物質を分泌するのです。
これが、運動が脳に良い影響を与える理由です。
運動の種類は重要ではない! とにかく体を動かそう!
著者は、どんな運動をするか、どこで運動するかは重要ではなく、とにかく体を動かすこと が重要だと言います。
ダンスでもヨガでも、水泳でもウォーキングでも、筋トレでもバレエでも、あなたが 楽しいと思える運動 をするのが一番です。
体を動かせば、たちまち心と体が健康になり、脳の働きも良くなります。
そして、運動を習慣にして長く続けるほど、その効果を実感できるでしょう。
飲むだけで常に感覚が研ぎ澄まされ、気持ちが晴れやかになり、集中力を保て、健康になれるサプリメントがあれば、どんなに良いだろうと私たちは思いますよね。
残念ながら、そんなサプリメントはまだ開発されていません。
しかし私たちは誰でも、常に感覚が研ぎ澄まされ、気持ちが晴れやかになり、集中力を保て、健康になれる手段を生まれつき持っています。
それは 運動すること であり、運動という魔法の薬をきちんと摂取するかどうかの選択は あなた次第 なのです。
運動の効果を最大限に引き出すには?
では、最後に脳のパフォーマンスを最大限にする運動量についてもお伝えしておきましょう。
まず何よりも重要な点は、たとえ わずかな一歩であっても脳のためになる ということです。
もちろん、5分よりは30分のほうが良いですが、5分でも全く価値がないわけではありません。
何も しないよりは、はるかに良いのです。
あなたも、「楽しい!」 と思える活動からスタートしてみましょう。
そして、慣れてきてより高い効果がほしいと思うのなら、最低30分のウォーキング をしてみましょう。
脳のための最高のコンディションを保ちたいのならば、ランニングを週に3回、45分以上行うこと が望ましいと著者は言います。
重要なポイントは、心拍数を増やすこと です。そして、有酸素運動 を中心に行うこと。筋力トレーニングも脳に良い影響を及ぼしますが、どちらかといえば有酸素運動のほうが好ましいと著者は言います。
まとめ|「運動」という魔法の薬を処方しよう!
あなたも、運動という魔法の薬を、今日から生活に取り入れてみませんか?
歩くことから始め、ランニングに挑戦するのも良いでしょう。
大切なのは、「継続すること」 です。
運動を習慣化し、心も体も健康な、充実した毎日を送っていきましょう!
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