この記事では、人がものを買う時の心理原則を17個紹介します。
顧客の本質を理解できるため、セールスに関わる方はぜひ読み進めてください。
本能:生命の8つの躍動(LF8)
人類が持つ根源欲求を8つに分類したものを紹介します。
すべての「〜したい」はすべて下記に集約されたものになります。
※欲求=必要が満たされない時に感じる1種の緊張感
1.生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい
2.食べ物、飲み物を味わいたい
3.恐怖、痛み、危険を逃れたい
4.性的に交わりたい
5.快適に暮らしたい
6.他人に勝り、世の中に遅れをとりたくない
7.愛する人を気遣い、守りたい
8.社会的に認められたい
人間の後天的9つの欲求
上記の8つほどではないものの、それに準じるほど強い欲求が9つあります。
1.情報が欲しい
2.好奇心を満たしたい
3.身体や環境をよくしたい
4.能率よくありたい
5.便利であって欲しい
6.信頼性、質の良さが欲しい
7.美しさと流行を表現したい
8.節約し、利益を上げたい
9.掘り出し物を見つけたい
これから紹介する17の原則も、元を辿れば上記の欲求に根差したものになります。
原則1:恐怖という要素
恐怖を煽れば売れる。
恐怖は人を刺激し、急きたてる。
さらに人に行動を起こさせお金を使わせる。
恐怖はストレスをもたらし、人はそこから解放されるために行動を起こす。
効果的な使い方:相手にとってのネガティブ情報を暗示さる
- 人が徹底的に恐怖に怯えている時
- 恐怖が喚起した脅威を克服するには具体的にどうすればいいのか、お勧めの行動案が提示されている時
- お勧めの行動案が脅威を軽減するのに効果的であると認められた時
- メッセージの受け手がオススメの行動案を取れると信じた時
恐怖を利用して行動を促すときは、「締め切りと希少性」を用いるのが一般的です。
原則2:自我の昇華
消費者は好ましいものを買って自我の価値を高め、足りないものを合理的に処理している。
例:化粧品を買って自分の魅力を上げる女性、など
- 消費者の価値観にアピールする
- 有名人のお墨付きを掲載する
- 顧客の自尊心をくすぐる
原則3:信頼性の転嫁
推薦の言葉は100のコピーに勝る!
販売者に信頼性がない場合は、事前に口コミや推薦を集めてそこに信頼性を集めましょう。
Amazonにて「レビュー数が多くて星4.5評価」という理由だけで、商品を購入した経験ありますよね?
信頼性を見せつけることで、見込み客がセールスの主張を疑問視しなくなります。
【具体例】
「これだけ大勢の人が買ってるんだから、いい商品に違いない!」
原則4:バンドワゴン効果
集団帰属欲を利用し「この集団に入りたい」と思わせよう。
集団貴族欲は欲求の段階で考えると、「衣食住」「安全、恐怖」に次いで重要です。
- 憧れの集団ーあなたが属したいと思う
- 連帯する集団ーあなたと考えや価値観を共にする集団
- 関係を断つ集団ーあなたが属したくない集団
憧れを意識させたいときは、その位置にいる人の写真を載せると効果的です。
原則5:手段・目的連鎖
消費者は差し迫った必要性を満たすために決断するのではなく、将来の目的のために決断します。
「そもそもあなたはどうなりたいのか?」に訴求すると効果的です。
ダイエットサプリを例にするなら、
「飲みやすい!」「痩せる!」より
「細マッチョになって美女にモテる!」と伝えたほうが刺さる、ということです。
- 人はその商品から得られる最終的なメリットを買っている
- 車なら綺麗な塗装でもエンジンでもなく「A→Bに移動したい」
- 人はデザインだけでは買っていない
原則6:購入心理の段階的説得
消費者が商品を認知してから購入するまでにはいくつかの段階があります。
各段階に合わせた伝え方をすることで、効率的に購入を促せます。
- 検討以前:商品の存在を無視している。買おうと思っていない。
→「何それ?」 - 検討:見込み客は商品を意識している
→「いつか買ってみなくては」 - 準備:買おうと思っているが、どんなメリットがあるか知りたがっている。
→「買いたいなぁ、美味しそうだけど何が入ってるのかな?値段は?」 - 行動:購入した。
→「これがカードです!」 - 維持:商品が日常の一部になっている。
→「〜といえばこの商品」
あらゆる段階の見込み客に呼びかける広告をつくる。
どの段階にいてもあなたの商品に注目するようにする。
原則7:接種理論
消費者に競合商品を牽制したほうがいいことを警告してください。
いわゆる予防接種のようなもので、競合が消費者にアプローチをかける前に釘を刺しておく、といったところです。
下記手順をもとに、競合より自社がおすすめだということを訴求してください。
- 切迫した攻撃がくると注意を促す
- 弱い攻撃をしかける
- 強い守りを促す
【具体例】
「あなたに(競合他社)から営業が来るかもしれないが、あちらには〇〇というデメリットがあります。△△になりたくないのであれば、流されて購入しないようにしましょう。当社の商品ならそのような事態にはならず、さらに⚫︎⚫︎というメリットもあります」
注意点として、警告は必ず弱く、かつライバルにできないことをアピールしましょう。
原則8:信念・常識の破壊
消費者の常識や視点では考えつかない見方を示し、常識を破壊しましょう。
「そんなこと考えたことなかった!」
「そう言われると考え変わるわ!」
と思わせることが目標です。
【信念の焦点を変える】
恐れ、ユーモア、後ろめたさなどの感情に訴えかけるイメージや統計を利用して、論理性や知性に訴えかけます。
相手が抱いてる信念では裏付けられない見方を購買層に示す=新たな考え方を示す。
【信念の重みを変える】
すでに持っている信念を強めたり弱めたりします。
最も上手くいく手法は、見込み客が今信じていることを実証的な証拠で裏付けるか、同一化できるような身近な実例を上げて強化すること。
【読者心理】
「やっぱそうなんだ!思った通り、痩せるにはこの商品しかない!」
さらに付加的な信念を強化するのも効果的です(元の信念とぶつからないので抵抗が少ない)。
商品を前向きに捉えている見込み客の信念を強化するor転向させたい見込み客に対して、別の信念をそれとなく提示してみましょう。
【否定的な反応を引き出さない】
常識を破壊するといっても、消費者が間違ってるといってはいけない。
原則9:相手の態度を調整する
消費者の態度に合わせて説得方法を調節してください。
人間の態度を変えるルートは主に2つあります。
- 中心経路ー論理、論証、深い思考を用いた説得。購入前に広告の論点と主張について考えてもらう。
- 周辺経路ー楽しいこと、前向きなイメージ、「手がかり」などに結び付けて行う説得。広告内容を深く考えさせずに態度や決断に影響を及ぼす。
誰かに考えさせて結論を出させると、その考えを守ろうとする傾向もあります。
原則10:影響力の6つの武器
人間の行動を変える6つの要素を効果的に使います。
- 社会的証明:仲間の影響力は絶大だ
- 好意:「あなたのことが好きだから…このお金を使ってもいいよ!」
- 権威:信頼性の謎を解く
- 返報性:因果応報。利益は自分の元に返ってくる
- コミットメントと一貫性:やり始めたら止まらない
- 希少性:限定品。今すぐゲットしよう
書籍:影響力の武器
原則11:大切なことを明確に伝える
メッセージはシンプルisベスト!
回りくどい遠回しな表現は嫌われます。
「つまり何が言いたいの?」という疑問を抱かせないことが大事です。
原則12:実例>データ
データよりも実例を優先して消費者に提示してください。
実際に、実例と統計を比較した場合、大半が前者に興味を持ちます。
実例のほうが鮮明なイメージを描けるため、消費者も自分の理想を想像しやすいでしょう。
テレビCMでも数字や事実ではなく、消費者の証言や推奨を利用している傾向にあります。
※製品ごとに載せるべき数値の量も違う
原則13:自社と競合の両面から説得する
自分とライバルの両方の立場からストーリーを伝えた方が説得力が上がります。
ただし、勧めるのは自分の商品です。
ライバル商品を褒めてフェアな姿勢を見せたうえで、自分の商品の方が優れている理由を伝えるのがベターでしょう。
原則14:単純接触効果
繰り返しが無関心の壁を破ります。
広告を見てもらうには7回宣伝しなければいけない、ともいわれています。
ただし、同じ宣伝は3回まで。
別の形や少し違ったコピーで伝えると、新しい広告だと思われる。
原則15:修辞疑問文を使う
質問に見せかけて己の意見を伝えましょう。
修辞疑問文とは相手に対する質問ではなく、疑問文の形を使って自分の言いたいことを強調する文のことです。
【具体例】
あなたは家族のために毎日頑張っていますね。そろそろ息抜きが必要だと思いませんか?
質問はなるべく読者自身に関わるものがベスト。
そうすることで、意識的に読者は質問内容について考えようとします。
原則16:証拠
証拠を提示して再現性があることを示してください。
購入前、消費者は「自分は何を得られるのか?」を知りたがります。
「私にとってどんな価値があるのか?」「本当に私の役に立つ?」という不安に応えましょう。
読者がゆっくり考える必要のない、明確で理解しやすい証拠を提示するべきです。
原則17:ヒューリスティック
ヒューリスティックとは、批判的思考や論理的思考ではなく、経験則や先入観に基づく直感で素早く判断すること。
- 説得の長さ:力のヒューリスティック
- 販売者への好意:同意のヒューリスティック
- 消費者の多数意見:適切のヒューリスティック
人間は怠慢な生き物なので、最も早い経路を通って意思決定に至ろうとします。
自分の商品を買うべき理由を大量の並べられれば、見込み客に良い商品だと確信させることができます。
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