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人間の世界の見方:省略・歪曲・単純化

「自分が言ったことが部下にちゃんと伝わっていない」

「『かっこいい』って言っただけなのに、私があの男を好きみたいに言われてる」

こんな風に自分が口にした内容がうまく周囲に伝わっていないことってありますよね?

人は「ありのままの世界そのもの」を認識しているわけではありません。

独自の文化・ルール・信念・常識・価値観を持ち、それを通して世界を認識しています。

それゆえに話し手が伝えたいことと、聞き手の印象に残っている内容が食い違うことがあります。

本記事では、人間がどういうプロセスで世界を見ているのか解説!

「お前にそんな高尚なことがわかるのかよ」と思うかもしれませんが、とりあえず読んでみてください。

目次

人間の認識モデル

大まかに、人は下記の3ステップで世界を見ています。

  1. 外的世界における原始体験
  2. 省略・歪曲・単純化
  3. 内的世界(内心)における自分の解釈や現実

省略・歪曲・単純化の3つのフィルターを通して認識された、わずかな情報だけが当人にとっての現実となります。

  • 省略:聞き手は話をすべて覚えられないのでまとめる
  • 歪曲:聞き手の常識によって話の内容が捻じ曲げられる
  • 単純化:聞いた内容を自力で表現できるよう簡潔にまとめる

一度も人の話を聞いたことがない、という弩級の自己中でもなければ、ピンとくるのではないでしょうか?

人は外界情報を記憶の棚に仕舞い込むまでに、上記3つのフィルターを通します。

詳細は下記で説明します。

省略

人は物事を「言葉」 として理解するとき、 主に抽象的な表現をもって理解します

すると結果的に、多くの情報が省略されます。

具体例:上司との関係

友人が 「上司との関係がうまくいっていないんだよ」とこぼしたとします。

これだけを聞いたら、 友人と上司との間に深刻な問題があるように思えます。

しかし、もっと深く話を掘り下げて聞いてみると

「僕の上司ときたら、 全ての仕事に対して1つ1つ確認を求めてくるんだよ」

これを聞くと、友人と上司との間には仕事に対してのスタンスにちょっとした違いがあるだけで、別に深刻な問題ではないという事がわかります。

情報を省略することで、 自分でも「省略された情報」が現実だと理解・認識してしまいます。

歪曲

歪曲とは 『思い込み』 や 『先入観』のことです。

先程の、 「上司との関係」 の例でみると、 仕事のスタンスについてのちょっとした違いがある程度で、別段深刻な問
題でないのは明らか。

この人にはどんな思い込みや先入観があるのだろうか?

具体例:上司との関係

「確認を求められる=信頼されていない」という思い込みや先入観を持っていると予想できる

しかしここで、

なぜ確認を求められる事が信頼されていない事とイコールなんだい?

と質問をすれば、単なる勝手な思い込みだったことに気付くかもしれません。

伝えられた情報は、歪曲されて理解・ 認識されている場合がほとんどです。

単純化

人間は物事を理解・認識するとき、それを単純化します。

他人になんらかの事情を説明するときも「簡単にいうと、、」みたいに言いますよね。

あれと同じです。

なぜ単純化するかというと、

そうしないと体験から得たイメージを言葉として表現できないからです。

何かしらの体験をしたとき、 それが自分の中だけの思い出だとしても、 「表現できる言葉」に置き換えなければ脳に記憶させておけません

具体例

話題の映画を観て、

始めから展開が予測できず、ラスト30分の怒涛の展開には目が離せなかった。特に主人公が覚醒するところは激アツ。最後はしっかりハッピーエンドで終わって、とても感動的で素晴らしい映画だった

と認識したとしても、

いざ知人に「あの映画どうだった?」と聞かれれたら、

伏線ヤベェ!めっちゃ感動した!

と単純化してしまう。

本人の中では、心に残った様々なシーンを思い描いた上での発言なのだが、

それを言葉として置き換えなければ記憶できず、誰かに伝えることもできません

ミスコミュニケーションが起こる仕組み

一般的な会話でどれだけ情報の変換が行われているか見てみましょう。

話し手が相手に伝えたいこと

→話し手の省略・歪曲・単純化

→聞き手に伝える

→聞き手の省略・歪曲・単純化

→聞き手なりの解釈・認識

ただ話を聞いただけで、これだけの変換行為が行われています。

うまく話を伝わらないのも当然でしょう。

とはいえ、コミュニケーションにおいて、省略・歪曲・単純化を回避することはできません

この歪みを少しでもなくす方法は1つ。

体験させる」しかありません。

具体例

サブスクで「30日間無料!」みたいなサービスがあるのも、この歪みをなくす一貫といえるでしょう。

体験・経験の溝をカバーすることがコミュニケーションの鍵です。

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